ワーク・ライフ・バランスの推進のための政府の取り組みとしては、「男女雇用機会均等法」と「育児・介護休業法」に引き続き、2005年には仕事育児を両立できるよう事業主が時勢代育成支援のための行動計画を策定することを求めた「次世代育成支援対策推進法」が施行されました。
また、2007年からは同法に基づく認定制度がスタートし、行動計画の達成など一定の認定要件を満たした企業は、子育てサポート企業として厚生労働大臣の認定を受けることができ、認定マークを商品や広告などに掲載することができます。
さらに、同年には、これまでの「均等推進企業表彰」と「ファミリーフレンドリー企業表彰」を統合した「均等・両立推進企業表彰」もはじまりました。
これは女性労働者の能力開発を促進するための積極的な取り組み、仕事と育児・介護との両立支援のための取り組みについて模範となる企業を表彰することで、ワーク・ライフ・バランスを周知することを目指しています。
それでは、日本企業または産業界において、どの程度ワーク・ライフ・バランスは推進されているのでしょうか。労働政策研究・研修機構が実施した調査「仕事と家庭の両立支援に関わる調査(2007年)」から、企業の実体についてみていきます。
まず、育児休業制度があると応えた企業は863社中98.6%の851社となっています。支援内容は、法定どおりとする企業が74.3%、子供の上限年齢が法定を超える企業は16.1%となっています。
短時間勤務制度の導入については、導入済みの企業が75.7%、そのうち過去3年間で利用実績のある企業は、67.2%ととなっています。このように育児休業制度と短時間勤務制度は、既に多くの企業で導入されていることが分かります。
また、制度の周知については、育児休業制度については、管理職では90.3%、一般社員では88%の人が制度の導入を認識しています。その一方で、短時間勤務制度については、管理職の37.5%と一般社員43%が、同制度の導入を認識していませんでした。
せっかく制度が導入されていても、制度を利用する肝心の従業員に周知が行われていなければ、ワーク・ライフ・バランスは実現できません。これからは周知の徹底がカギとなるでしょう。
男性の育児休業習得については、28.4%の企業が取得を促進していると回答していますが、従業員に対して会社が取得を促進していると思うかをたずねたところ、管理職では10.9%、一般社員ではわずか6.9%で、会社と社員の間に認識のギャップがあるようです。
実際の取得状況は、過去3年間で配偶者が出産した男性社員がいる企業774社でうち、男性の育児休業所得者が一人もいなかった企業は78%、1~2人だった企業は10.6%と、まだまだ進んでいません。
このように、企業におけるワーク・ライフ・バランスの支援は、制度の導入は進みつつありますが、導入した制度の周知と利用の促進いついては十分とは言い難く、さらに積極的に進める必要があります。特に、制度の利用については、会社側は制度の利用を促進していると認識していても、従業員は全く奏感じていないというずれがあるため、そのギャップを埋める努力が求められます。